認定農業者制度を活用していますか?
認定農業者制度とは、農業経営基盤強化促進法に基づき設けられた制度で、①農業者が、②農業経営基盤強化促進基本構想に示された農業経営の目標に向けて自らの創意工夫に基づき経営の改善を進めようとする計画を作成し、③市町村等※が認定した上で農業者に対して重点的に支援措置を講じようとするもの、となります。
※複数市町村で農業を営む農業者が経営改善計画の認定を申請する場合は営農区域に応じて都道府県又は国が認定
背景としては、活力ある地域農業を築くために、効率的かつ安定的な農業経営の担い手を確保し支援していこうとすることにあります。
平成31年3月末現在、認定農業者数は23万9,043経営体となっており、近年はほぼ横ばいとなっています。
また、認定農業者のうち法人の数は、前年と比べて1,317法人増加し、2万4,965法人となっています。
(農林水産省「認定農業者の認定状況(平成31年3月末現在)」より)
認定を受けた農業者にとっては、各種支援を受けることができますので、既に営農されている方はもとより、これから農業を初めようとする方も、ぜひ制度活用を検討してください。
日本政策金融公庫にて利用することができます。
具体的には、農業経営改善計画に則り、経営改善のための長期低利融資(農地、施設・機械な どの取得に必要な資金及び長期運転資金)を利用できます。
人・農地プランの中心経営体として位置付けられた認定農業者等が借り入れるスーパーL資金については、貸付当初5年間の金利負担が軽減されます。
経営状態によっては無担保無保証で利用することも可能です。
強い農業・担い手づくり総合支援交付金(先進的農業経営確立支援タイプ及び地域担い手育成支援タイプ)は、担い手の経営発展の段階に応じて、必要な農業用機械・ 施設の導入を支援する制度です。
融資を活用して農業用機械等を導入する場合には、融資残(事業費の3/10以内)について国庫補助を受けることができます。
畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)や 米・畑作物の収入減少影響緩和対策交付金 (ナラシ対策)を受けることができます。
農業経営基盤強化準備金制度の利用となりますが、経営所得安定対策等の交付金を積み立てた場合、この積立額を個人事業主は必要経費に、法人は損金算入することができます。
さらに5年以内にこの積立金を取り崩して、農地や農業用機械、農業用建物等を取得した場合に圧縮記帳を適用することが可能となります。
農業者年金の保険料支援 (特例付加年金)として、39才までに加入し、農業所得が900万円以下の青色申告を行う認定農業者は最大20年間、月額2万円の保険料のうち1万円~4千円/月の国庫補助を受けることができます。
基本構想とは、区市町村が地域農業の将来を見通して、育成すべき農業経営の指標や支援施策の方向を定めるものです。区市町村はこの基本構想に基づいて認定農業者の認定を行います。
農業者からみると、まずは営農する区市町村が、どのような基本構想を作りそれに基づく支援策を用意しているのかを確認する必要があります。
認定を受けようとする農業者は、5年後の具体的な経営目標に基づく「農業経営改善計画」を作成し、区市町村に認定の申請を行います。
なお、区市町村では認定農業者に申請しようとする農業者に対し、制度の説明会や、経営改善計画の作成を支援するための個別相談会を開催していたりしますので、確認してみてください。
農業経営改善計画には、5年後の経営規模や生産方法に関する目標と、それを達成するために必要な手段を具体的に記載します。
各区市町村のホームページには、申請様式や記載例が掲載されていますので、そちらを確認しましょう。
親子や夫婦など、家族経営の構成員が複数人で農業経営改善計画認定申請の共同申請をすることができます。
共同申請をする場合には、家族間で「家族経営協定」を締結し、農業収益の配分などの取り決めがされていることが必要となります。
認定農業者の有効期限は認定されてから5年間ですが、新たな経営改善計画を作成して再申請することにより更新することができます。
令和2年(2020年)4月から、農林水産省共通申請サービスにより、農業経営改善計画の認定申請手続のうち、国または都道府県に申請するものを対象として、電子申請が可能になりました。
市町村に認定申請を行うものは、令和3年度から順次拡大予定とのことです。
電子申請には「gBizIDプライム」が必要となります。