公益目的事業費率とは、公益目的事業会計における費用の合計額は法人全体の費用の50%以上でなければならない、という基準をいいます。
これは、あくまでも「費用」の基準であって、収益の基準ではありません。
これは、公益法人は、公益目的事業を行うことを主な目的とした法人であり、寄附や補助金を受けつつ事業活動を行うので、法人のすべての活動に対する公益目的事業の割合は少なくともその半分を占めていることが必要である、という考えによるものです。
正味財産増減計算書内訳表のうち、公益目的事業会計、収益事業等会計、法人会計の経常費用を基礎として算定します。
また、人件費(役員報酬を含む)、事務所家賃等の共通経費は、適正な基準により配賦計算を行います。
以下については、公益目的事業費率を算定する際の費用額を調整する必要があります。
①は、本来は貸借対照表の調整であり正味財産増減計算書上には影響しないものの、特定費用準備資金を有する場合には、その積立額を事業等の区分に応じて費用計上します。
反対に、特定費用準備資金取崩額や引当金の取崩額による取崩益が発生している場合には、費用額から控除します。
②は、有価証券や有形・無形固定資産等の譲渡損や評価損、運用損が経常費用として計上されている場合にはこれを費用から差し引きます。
公益目的事業費率が50%を下回ってしまう場合、以下を調整項目として加減算して判定することができます。
判定の結果、50%以上となる場合には公益目的事業費率の基準を満たすものとして取り扱われます。
ただし、正当な理由がない限りこの調整は毎事業年度継続する必要がありますので留意が必要です。
①は、自己所有の土地にて公益目的事業を実施している場合で、その土地をもし賃借した場合にかかるであろう賃借料(一般的な水準)を加算できるというものです。ただし、その場合には既に計上した固定資産税の支払額は差し引かなければなりません。
なお、賃料相当額は不動産鑑定士の鑑定評価額や固定資産税の課税標準額を用いた倍率法、賃貸事例比較法などで算定します。
②は、自己資金を他者に貸し付けている場合に、その原資を借り入れたと仮定した場合にかかるであろう一般的な水準の利息を費用として加算できるものです。その場合には、実際に得られる受取利息は控除しなければなりません。
借入利率は、前事業年度末の長期プライムレートや貸出約定平均金利などで算定します。
③は、ボランティア人件費など、法人が本来負担すべき対価を支払うことなく役務提供を受けた場合に、本来かかるであろう一般的な水準の対価を公益目的事業の費用として加算できるものです。なお、無償に限らず廉価な対価でも同様です。
対価は、一般的な労働者であれば最低賃金、専門家などであれば他の専門家の見積金額等などで算定します。
出所:内閣府資料「財務に関する公益認定の基準について」