遊休財産保有制限とは、法人が各事業年度末において保有する遊休財産額がその年度の公益目的事業会計における経常費用額を超えてはならない、という基準をいいます。
遊休財産額とは、法人の財産のうちその使用目的が法人が実施する事業に紐付けられていない財産の価額をいいます。
趣旨としては、公益のために寄附などによって集められた財産は速やかに公益目的に使用されるべきであり、逆に言えば、公益目的事業とは何ら関係の無い財産を法人に内部留保することは適当ではない、ということです。
とはいえ、法人が適切に公益目的事業を行うためには、ある程度自由に使用することができる資金を保有することも必要であるので、認定法の基準の範囲内で「遊休財産」とされる資金を保有すること自体は問題とはなりません。
具体的には、1年間の公益目的事業の費用相当額が目安となります。
内部留保として位置付けられる遊休財産額は、基本的にB/S正味財産の部の金額(一般法第131条の基金の額を除く)ー控除対象財産額とされます。
控除対象財産額とは、以下の6種類に分類可能な資産をいいます。
1号財産は、運用益を公益目的事業の活動財源とすることを目的として保有する定期預金や有価証券、公益目的事業に使用する減価償却資産が該当します。なお、当初から取り崩して使用することが予定されている積立金等は該当しません。
2号財産は、運用益を公益目的事業以外の活動財源とすることを目的として保有する定期預金や有価証券、公益目的事業以外に使用する減価償却資産が該当します。なお、当初から取り崩して使用することが予定されている積立金等は該当しません。
3号財産は、将来の特定の資産(主に償却資産や土地等)取得のための原資として内部に積み立てる資産が該当します。なお、積立および取崩のスケジュールがあらかじめ明確に定められていることが求められます。
4号資産は、将来の特定の費用(主に事業拡大資金や記念事業開催資金等)発生のための原資として内部に積み立てておく資産が該当し、3号資産と同様、あらかじめスケジュールを明確にすることが必要です。
5号資産は、交付者が特定の使途を定めて拠出した金銭以外の資産をいいます。
6号財産は、交付者が特定の使途を定めて提供した金銭資産をいいます。
なお、法令改正(認定法施行規則第22条第3項第6号およびガイドライン、平成31年3月施行)により、使途の指定はあるが時期の指定がない金銭資産の運用益は6号財産に該当しないとされています。
まとめると以下のとおりとなります。
出所:内閣府資料「財務に関する公益認定の基準について」
上記の通り、1号財産と2号財産とで共用している場合は、使用割合等の一定の合理的な割合で按分をする必要があります。
遊休財産額を計算する際には、控除対象財産額に直接対応する負債の額と、その他の負債にうち控除対象財産額に按分された負債の合計額を、控除対象財産額と相殺する(控除対象財産額を純額とする)ことが必要となります。
これは、借入金等による負債によって資産を取得している場合に負債の二重控除を防ぐためとなります。
遊休財産額の保有上限額は、P/L上の公益目的事業に係る経常費用となりますが、以下の金額を調整する必要があります。