買ったはいいけど使わなくなった機械設備が工場の片隅に眠っていませんか?
売却したくてもできない有形固定資産がある。そんなときは思い切って処分してしまいましょう。節税対策として有効です。
「せっかく買った資産、なぜ捨てなければならないのか。もったいないじゃないか」と怒られそうですが、ちゃんと理由があります。
もちろん、「何も考えずに捨てろ」といっているわけではありません。会社のさまざまな事業状況や条件を考えながら決めなければなりません。
ここでは、固定資産を廃棄することにも一定の経営合理性があるということを説明しています。
そもそも、固定資産の「除却」とはなんでしょうか。
有形固定資産の除却とは、有形固定資産の事業用の使用を中止し、帳簿から除く処理をいいます。
固定資産は購入し、「事業に使用し始めた時点」から減価償却を行います。
減価償却は一定の耐用年数に基づいて行われますが、償却の途中であっても「除却」すれば「固定資産除却損」を計上します。
例えば、1000の機械装置を購入し、750まで償却済である場合、除却をすると250の除却損を計上します。この250は固定資産除却損として税務上の費用(=損金)となります。税金を減らすことができるわけです。
さらに、撤去費用が発生した場合、これも損金となります。
固定資産の廃棄は、税務調査で問題になる論点の一つです。しっかりと対策する必要があります。
ではどうすればよいか。きちんと記録を残しておきましょう。
上記の書類を全部保存しておかなければダメということはありませんが、せめて①は取得しておきましょう。
廃棄費用が高くて廃棄できない。
そんなときには、固定資産を実際に廃棄や解体をしなくても固定資産除却損を計上できる場合があります。
これを「有姿除却」といいます。
これも税務上費用として認められるためには条件があり、慎重に対策をする必要があります。税務上の取り扱いを定めた通達を見てみましょう。
有姿除却(法基通7ー7ー2)
次に掲げるような固定資産については、たとえ当該資産につき解撤、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、当該資産の帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができるものとする。
- その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
- 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、その製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの
ここでのポイントは、「今後その固定資産を通常の方法では事業上使わない」と証明できるかどうかという点です。
単なる一時使用停止、遊休状態ではダメだということです。「今後使いません」と宣言するだけでは弱いでしょう。では具体的にどうすればよいか。
例えば、設備の主要な部分にドリルで穴を開けて使えなくするなど、今後、明らかに事業上使用できないことを客観的事実として示すことができれば、有姿除却は可能であると考えます。
節税対策という観点から固定資産の除却処理についてまとめました。
実施にあたっては、顧問税理士とよく相談して進めましょう。