融資の返済が困難となり、金融機関にリスケジュールをお願いするときには、しっかりと事前準備を行うことが重要となります。
ここでの「余裕」とは、手元資金の余裕と時間的な余裕の2つの意味があります。
まず、リスケの申し出は返済日からみて余裕あるタイミングで行いましょう。つまり、返済日直前になって慌てて相談をすることはよくありません(当然ですが)。
返済日直前に相談を持ちかけられた銀行側も対応に苦慮しますし、ギリギリにならないと動き出さなかったということ自体、債務者である会社の管理能力に疑問を持たれることとなるからです。
会社側の資金繰り管理という観点からもよくありません。
リスケは申し込んだからといって必ず応じてもらえるわけではなく、あくまでも「お願い」です。
断れた場合には資金繰りに行き詰まることとなりますので余裕をもったタイミングで申し出ましょう。
また、リスケに成功した場合でも、原則として新規融資は出ませんので、やはり余裕をもったタイミングで行うことが重要なのです。
リスケの申し出には、下記記載の書類を事前に準備しておきましょう。
数的根拠を示さずに、ただ「返済が苦しいから猶予してほしい」は金融機関側に納得はしてもらえません。
経営改善計画や資金繰り表の作成には時間がかかりますので、①とも関係しますが、早めに準備することが必要です。
リスケジュールにおいて、融資元である金融機関を平等に扱うという暗黙のルールがあります。
これを「プロラタ原則」といいます。
具体的には、各金融機関の融資残高に応じた割合(残高プロラタ)で返済をすることにより、各金融機関を平等に扱わなければならず、これは絶対に守らなければならないものになります。
事業活動から生じた買掛金や税金に関する未払金について、支払の見込をつけておきましょう。
特に税金の支払いは何よりも優先しなければならないので注意しましょう。
また、預金担保・有価証券担保などの流動性の高い担保は借入金と相殺し、先々の支払を軽減することも準備として実施しておきましょう。
リスケには追加コストがかかります。
具体的には、金融機関への事務手数料や信用保証協会への追加保証料が該当します。
特に追加保証料は、制度によって異なりますが、0.5%程度発生したりしますので、経営改善計画や資金繰りに織り込んでおく必要があります。
リスケの申込によりさまざまな書類の提出を求められますが、返済条件変更申込書、経営改善計画書、資金繰り表は必須資料となります。
返済条件変更申込書とは、融資の返済条件を変更して欲しい旨を記載する書類です。
具体的な変更内容、変更理由などを記載します。
経営改善計画書は、リスケを申し込む際に最も重要な書類です。「リスケを実行すれば、その後は今までどおり返済できるようになる」という説得力のある内容にするために、数字上で説明できるよう準備する必要があります。
経営改善計画書は、客観的に見て実現可能な計画である必要があります。明らかに実現不可能な内容では、金融機関を説得することはできません。
資金繰り表では、リスケ実施前の資金繰りとリスケ実施後の資金繰りを説明できるように準備します。
資金繰り表は、基本的に自社作成のもので構いませんが、金融機関指定のフォーマットで作成しなければならないこともありますので注意しましょう。
また、資金繰り表は経営改善計画書との整合性があることはもちろんのこと、実現可能な内容とすることも注意しましょう。
再度のリスケは極めて困難です。