リスケジュールとは、返済中の金融機関からの借入金について、その返済条件を変更することをいいます。
略して、「リスケ」とも呼ばれます。
具体的には、何らかの原因により企業の資金繰りが悪化しているとき、
などの返済条件緩和について金融機関との間で交渉を行い、事業再生を目指すために行います。
平成21年12年月4日に中小企業金融円滑化法(「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」、平成23年3月までの時限立法)が施行(平成25年3月に終了)されました。
また、金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)が改訂され、企業が返済条件変更を申し出た際に経営改善計画書を作成していなくても1年以内に計画書を策定すると見込まれる場合、不良債権に区分しなくても良いということになりました。
このような経緯を経て、金融機関は中小企業からのリスケの申込を安易に無視するわけにはいかないため、企業にとってはリスケを利用しやすい状況が続いています。
以下は、それを示すグラフになります。
金融機関(1326社)における貸付条件の変更等の状況(中小企業)
出所:金融庁「金融機関における貸付条件の変更等の状況について」
平成30年4月〜平成31年3月には、約74万社がリスケの申込、約72万社が実行に至っています。
日本の中小企業は約380万社程度なので、約2割の中小企業がリスケを利用しようとしており、マイナーなことではないことがわかります。
ただし、中小企業金融円滑化法施行にともないリスケは行いやすくなっているものの、リスケを繰り返す「リスケ慣れ」にならないよう、キャッシュ・フローの改善・安定化と借入金返済の道筋を常に考えることが重要です。
ではリスケを実行すると、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
毎月の返済額を減額してもらうことにより資金繰りに余裕が生まれます。
ですので、財務内容が悪化した企業が新規に融資を受けようとする場合、高金利などの貸付条件の悪い借入金を増やさざるを得ないですが、そうしたことを回避することができます。
リスケにより新規の融資を受けにくくなります。
リスケを実行する企業は、銀行の信用格付が下がります。
銀行の格付は企業の財務内容により次の5つに分類されます。
リスケにより、「要注意先」「破綻懸念先」に低下することになるため、新規融資を受けにくくなるのです。
また、信用格付の低下により、手形割引ができなくなったり、L/Cが開けなくなる場合があります(必ずではありません)
金融検査マニュアルの改訂により、経営改善計画書がなくてもリスケジュールは可能ではありますが、たとえ金融機関から求められなくても、「経営改善計画書」および「資金繰り表」の作成は必要です。
なぜなら、事業計画や資金繰りにもとづく返済計画を明確にすることは、金融機関はもとより企業にとっても大変重要なことだからです。
返済の見込がないにもかかわらずリスケしたとしても単なる問題の先送りに過ぎません。
会社の事業が躓き資金繰りが悪化したのには必ず原因があります。その原因を特定し、抜本的な解決をしない限り事業再生は成功しません。
再び資金繰りに行き詰まる可能性が極めて高いといえるでしょう。
また、返済計画を作成する際に気をつけなければならないことは、金融機関の言い分をそのまま受け入れないことです。
リスケの目的は、返済の猶予によるキャッシュ・フローの改善、事業の安定化です。
事業の安定化を図る前に借入金の返済を優先させるような「経営改善計画書」「資金繰り表」を作ってしまっては本末転倒です。
資金の貸し手である金融機関としては早く確実に回収したいと考えることは当然ですが、リスケの目的を達成するためにも、合理的で実現可能な「経営改善計画書」「資金繰り表」を作成し、金融機関ときちんと交渉することが必要です。