被相続人が所有していた不動産については、一括してすべてを調べる方法はありません。
自宅などに保管されている権利証(登記済証)や登記識別情報、固定資産税の課税明細を基本として、所有不動産があると想定される市区町村で名寄帳を閲覧したり、不動産の登記事項証明書の共同担保目録を確認することによって調べていくこととなります。
一般的に、個人が所有している不動産を確認する場合には、市区町村から毎年送付される固定資産税の課税明細や納税通知書を確認します。
当然と言えば当然なのですが、これらの書類には固定資産税が課税されている不動産についてのみ記載されることとなります。
つまり、固定資産税が課税されていない不動産については課税明細等に記載されていないため、不動産の把握が漏れるおそれがあります。
土地の場合、課税標準額が30万円未満、家屋の場合は20万円未満の場合、その他、公衆用の道路となっている私道などは固定資産税が非課税となっています。
固定資産税が課税されていない不動産については、各市区町村で閲覧できる「名寄帳」にて確認できます。
名寄帳とは、課税台帳に登録された土地および家屋を納税者ごとに一覧表にしたものです。
この名寄帳には、課税・非課税の区別無く不動産が記載されています。
しかし、あくまでも市区町村単位なので、ある程度調査の目途を付ける必要があります。
融資を受けている場合に、不動産に担保(抵当権設定)がある場合には、「共同担保目録」の内容を確認するという方法もあります。
金融機関から融資を受ける場合、1つの不動産だけではなく他に所有している不動産も抵当権の目的物(共同担保)とすることがあり、その場合に共同担保目録が作成され不動産登記情報として記載されることとなります。
登記情報を確認する際に、共同担保目録を記載するように依頼することにより、被相続人が所有していた不動産の存在を確認することができます。