相続または遺贈により農地等※1を取得し引き続き農業に使用される場合、本来の相続税額のうち、農業投資価格※2を超える部分に対応する相続税が、一定の要件を充たすことにより、納税が猶予され、相続人が死亡した場合等に猶予税額が免除されます。
※1 農地、採草放牧地、準農地(10年以内に農地または採草放牧地として農業に供することが適当と市町村長が証明したもの)
※2 農地等が恒久的に農業の用に供される土地として自由な取引がされるとした場合に通常成立すると認められる価格として国税局長が決定した価格(20万円〜90万円程度/10a)
なお、相続時精算課税制度を利用した贈与によって取得した農地等には、この特例を適用することはできません。
被相続人
相続人
※特定貸付けは市街化区域外の農地(採草放牧地を含む)が対象
被相続人が、農業を行っていたまたは特定貸付けを行っていた農地等で、次のいずれかに該当するものが対象です。
原則として、三大都市圏特定市における市街化区域内の農地等(生産緑地地区内を除く)は対象外であり、それ以外は対象となります。
なお、三大都市圏の特定市とは、首都圏、近畿圏及び中部圏の特定市(東京都の特別区を含む)となります。
納税が猶予された税額は、①相続人の死亡、②後継者への生前一括贈与した場合等に納税が免除されます。
なお、市街化区域内農地(特定市の生産緑地地区は除く)は20年営農を継続した場合に納税が免除されます。
※平成21年12月15日前に納税猶予の適用を受けた相続人については20年営農を継続した場合に納税が免除される(特定貸付けを行った場合を除く)
納税猶予期間中は相続税の申告期限から3年目ごとに、引き続いてこの特例の適用を受ける旨及び特例農地等に係る農業経営に関する事項等を記載した届出書(継続届出書」)を提出することが必要です。
猶予適用農地等について、譲渡、貸付、転用、耕作放棄(①農業振興地域内の農地においては、農地法第36条の規定による協議の勧告があったこと。②①以外の農地においては、農地法第36条第1項各号に該当したこと)をした場合は、その部分に対応する猶予税額に利子税を加え、納税しなければなりません。
なお、譲渡等の面積が猶予適用農地面積の20%を超えた場合は、猶予税額のすべてを納税する必要があります。
納税猶予期限の確定事由については例外措置があります。一定の要件に該当する場合には納税猶予の適用が継続されますが、税務署への届出等所定の手続きが必要となります。
※1 農地中間管理事業、農地利用集積円滑化事業または利用権設定等促進事業 (農用地利用集積計画)
※2 特例事業(農地中間管理機構への譲渡)、農地利用集積円滑化事業または利用権設定等促進事業(農用地利用集積計画)