粉飾決算とは、架空取引や事実に基づかない会計処理など、意図的に収益や費用を偽装した決算報告をいいます。
銀行から融資を受ける際、または融資後の決算報告をする際に、少しでも良い数字を見せたいという誘惑から、つい手を染めてしまうのでしょう。
ハッキリ言いますと、粉飾決算を行うことは終わりの始まりです。
粉飾により、どんなに貸借対照表や損益計算書の数字を良くしても、キャッシュ・フローを誤魔化すことはできませんし、一度粉飾をすると、つじつまを合わせるためにその後の決算書も粉飾し続けなければならないからです。
銀行員から粉飾を疑われるケース一例は次のとおりです。
売上が減少している場合、原価や経費が同程度減少しない限り、利益は減少するはずです。
売上減少の幅にもよりますが、3期連続で売上減少している場合には、特別利益でもない限り、多くの場合は営業利益や経常利益が赤字に転落します。
にもかかわらず、当期純利益がなんとか黒字となっている場合には、売上や原価・経費項目を粉飾している可能性があると疑われます。
確かに、ビジネスモデル上、決算月に売上が集中する場合もあります。
しかし多くの場合、売上や原価、経費の発生は、月次単位、四半期単位あるいは半年単位でみれば平準化されます。
決算月のみに売上が増加したり、費用が減少することは考えにくいでしょう。
ましてや、そのような状況が、ある事業年度だけ発生したものではなく、毎事業年度そのような状況にあるということは、粉飾決算が行われているのではないかと疑われる端緒となります。
会計ソフトを使用する場合、簿記のルールから外れた仕訳を起票することができないので、簿記をよく理解していない方が粉飾しようと考えた場合、上手く粉飾できないと思います(変な言い方ですが)。
そうした場合、会計ソフトを使わずに、WordやExcelを使って決算書を作ってしまえば、簿記のルールに縛られずに数値を変更することできます。
ただし、そのような決算書は、会計ソフトから出力した見慣れたフォームではないため、理由もなくそのようなフォームが使われているのだとしたら、もしかしたら粉飾を行うために会計ソフトを使わなかったのではないか、と疑われることとなるでしょう。
また以下では、粉飾決算の可能性も含め、最初から信憑性のある決算書として見てもらえないケースも紹介します。
税理士のチェックが入っていない決算書ということですので、信頼性が低いと判断されます。
場合によっては、銀行員に見てもらえない場合もあります。
税理士側に原因があって顧問税理士を変更することはあるでしょうが、それでもそう頻繁には変更はしないはずです。頻繁に変更しているということは、経営者と税理士の意見対立があるということです。
税理士との間で生じる意見対立は、会計や税務に関することでしょうから、その中の一つとして、粉飾決算がなされている可能性が高いと見られることとなります。
上記にも記載しましたが、粉飾を行うために、頻繁に会計ソフトを変更したり、会計ソフトを使用しないのだと判断されます。
税務申告が期限までに間に合わないということは、意図的かどうかはさておき、記帳や決算処理が期限内に行われていないということになりますので、信頼性のある決算書とは見られません。
(天災などの特別な事情があれば話は別ですが)