銀行融資の審査において、様々な資料提出が求められます。
決算書や試算表、資金繰り表、銀行取引推移表などが主要審査書類となります。
これらの資料の内容が重要なのは当然ですが、一方で、「資料を素早く提出できる社内管理体制となっているかどうか」も重要となってきます。
こうしたことは、新型コロナウィルス対策の件で実感した方も多いはずです。
資料を素早く出すためには、融資審査の視点を意識した財務内容となっていること、またそれをしっかりとした根拠をもって説明することができるようにしておくこと、を普段から準備しておきましょう。
貸借対照表(B/S)における、勘定科目ごとのチェックポイントは次のとおりです。
勘定科目 | チェックポイント |
現預金 | 売上や仕入に対する入出金のバランスは適正か |
売上債権(売掛金、受取手形) | 残高は適正か、季節サイクルがある場合には増減との整合性があるか |
棚卸資産 | 売上や仕入に合わせて残高が変動しているか、異常に残高が増減していないか |
仮払金、貸付金 | 残高に動きがあるか |
固定資産 | 取得や除売却などあるか |
仕入債務(買掛金、支払手形) | 残高は適正か、季節サイクルがある場合には増減との整合性があるか |
借入金 | 残高の推移はどのようになっているか |
銀行へ試算表を提出前に、勘定科目の動きとその要因をしっかりと把握しておきましょう。
損益計算書(P/L)における、勘定科目ごとのチェックポイントは次のとおりです。
勘定科目 | チェックポイント |
売上高 | 月ごとの売上推移は一定しているか、季節サイクルの中で売上の推移はどうか |
売上原価 | 期中の仕入状況はどうか、在庫との関係ではどうか |
売上総利益 | 月ごとの売上総利益率はどう変化しているか、異常値を示す月はあるか |
販売費及び一般管理費 | 人件費や他の経費など大きな変動があるか |
減価償却費 | 固定資産との動きと整合性が取れているか、減価償却費が月次で計上されているか |
営業利益 | 前年度同月と比較してどうか |
支払利息 | 金利変動など支払利息が大幅に変動していないか |
当然ですが、黒字か赤字によって印象が全く違います。
ですが、単純に赤字だからといって悲観するのではなく、たとえ赤字であったとしても赤字の原因を説明し納得してもらうことが重要です。
例えば、一過性の要因により売上が減った・経費が増えた、試算表を提出したタイミングが季節サイクルの中で赤字になりやすい月だった、などです。
銀行から試算表の提出を求められるのは、主に以下のケースがあります。
なお、銀行から提出を求められないとしても、銀行とのコミュニケーションを円滑にするという観点からは毎月〜3ヶ月に1度程度は自ら試算表を手に銀行担当者と面会して方が良いです。
その際には、ただ試算表を持って行くのではなく、会計数値から自社の状況を客観的・論理的に説明できるようにしましょう。