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経営組織のガバナンスの強化及び事業運営の透明性の向上により、地域における公益的な取組を実施する責務を中長期的に果たすため、一定の規模を超える社会福祉法人については、公認会計士等による会計監査を受ける必要があります。
具体的には、以下の規模要件を超える社会福祉法人には、公認会計士等が会計監査人として社会福祉法人の機関として設置されることが義務付けられます。
会計監査人による法定監査は、2017年(平成29年)4月1日開始の会計年度から適用となっています。
現状では、下記のいずれかの基準を満たす場合、会計監査を受け公認会計士等から監査証明を受領することが法定事項として義務づけられます。
対象範囲は段階的に拡大されますが、段階施行の具体的な時期及び基準については、「各年度の会計監査の実施状況等を踏まえ必要に応じて見直しを検討する」とされています。
※厚生労働省より、社会福祉法人の会計監査人の設置義務対象を、2023年度から「収益20億円を超える法人又は負債40億円を超える法人」に拡大するという考えが示されました
会計監査人による監査は、法定の義務があって受けなければならない会計監査(法定監査)と、法人が自主的に会計監査人に監査を依頼する場合(任意監査)があります。
法定であれ任意であれ、会計監査を受けることにより次のような効果があります。
誤った情報の開示は、法人が公表するすべての情報の信頼性を低下させますが 、計算書類の開示前に重要な誤りを発見、修正するため、信頼性の低下の防止につながります。
また、会計監査人の監査証明を得ることにより経営者は財務情報について説明責任を果たしたと客観的に証明されます。
会計処理誤りとして多く見られるものは次の通りです。
会計処理誤りにより純資産が過大に計上される場合には、その分だけ多額の内部留保があるように利害関係者からは見えてしまいますので留意が必要です。
なお、会計監査にではなく、会計指導業務やコンサルティング業務等を利用して財務報告作成体制を強化する方法もあります。
厚生労働省では、会計監査を受けない法人向けに「 会計監査及び専門家による支援等について」(厚生労働省社会・援護局福祉基盤課長通知)の別添1「財務会計に関す る内部統制向上支援業務報告書 」及び別添 2「財務会計に関する事務処理体制 向上支援業務報告書」を、標準的な報告書として示しています。
会計監査人は法令上で権利と義務が明確に規定され、独立した会計専門家として、役員に対し「法人のためにもの申す立場」にあります。
会計監査は、世界標準の監査基準等が整備され、これらに違反する場合は、日 本公認会計士協会が自主組織として会員である会計監査人を処分する権限を有しています 。
これら法令・基準が整備されていることにより、会計専門家による他の関与方法と比べ、ガバナンス機能の実効性が圧倒的に高いといえます。
また、監事監査及び内部監査と連携することで機能が強化され、監事監査の負担軽減が図られます。
法人役員に気付きを与え、コンプライアンスを重視した組織風土の醸成につながるとともに、内部管理体制の整備を通じ、職員のコンプライアンス意識の向上につなげることができます。
経営状況の適時適切な把握を通じて、適切な経営判断を行うことができます。すなわち、継続して監査を受ける前提で、経営者は会計監査人から質問を受けますので、そこから気づきを得て中長期的視点での経営計画立案に役立ちます。
監査対応をする役職員は、会計監査人から様々な点について説明を求められますので、説明する能力が向上し、法人内外の説明が苦にならなくなります。
また、規程やマニュアルの整備、見直しについても助言をもらえ、財務会計に関する事務処理やシステムの統一が進む結果として、内部管理体制(職務分掌やチェック体制)の整備、継続的な運用が図られます。
こうした業務改善は 、公的報酬や利用料の請求漏れ等の防止を図ることにつながる場合があります。
監査手続またはその準備の段階において、不正を発見することがあります。
不正の発見可能性が高まることで、不正の抑止力となります。
事務処理体制や内部管理体制の状況を考慮し、誤る可能性や不正が発生する可能性 が高いポイントについて指摘し、業務の改善に役立ちます。
会計処理に迷うような場合、事前に相談することで時間の削減につながり、費用対効果で有利な場合もあります。
会計監査人は、一般的に複数法人を担当するため、他法人の事例を踏まえたアドバイスも可能です。
加えて、改善の指示だけでなく、具体的なアイデアをもらえます。
予備調査報酬:30万円〜
監査報酬:予備調査の結果に基づきお見積りします
※上記は全て消費税抜の価格です。別途消費税を申し受けます